太田宏

退団のご挨拶

カムヰヤッセンをいつもご覧頂きありがとうございます。

私、太田宏はこの度カムヰヤッセンを退団することになりました。

2010年、人に勧められて偶々、三鷹で「やわらかい日々」を観て、そして、泣きました。さり気なくしゃべる芝居が増えてきているなあとすこし寂しくなっていた頃に、これでもか!と独白し続けるスタイルは、嬉しく、そして懐かしく感じ興奮しました。これはやってみたいと勝手に思いながら、帰途についたのでした。

その後オーディションがあることを知り、ドキドキしながら受けに行き、そして出演させてもらった「そうか、君は先に行くのか」。そして入団、と、思えば、あっという間の3年間でした。

東京に出てきてからの自分の環境とは違う場所での、作演出、そして俳優との作業はとても刺激的であり、多くのことを学び、考えました。

ここ数年、演劇において俳優の存在とは何かを考え続けています。これはもちろん哲学的な意味ではなく、シンプルに「舞台で俳優は何をするのが最も効果的か」というようなことです。
セリフというツールを使って、観客の前にどう立つのか。

カムヰヤッセンで活動することで、さらにその考えは強度を増しました。

今、カムヰヤッセンは進化して行こうとしています。作品と興行を両立させた素晴らしい作品を作り続けて行くことでしょう。

そして、私も更に、俳優として変化していきたいと思っています。

そして、その変化を劇団と共にできないか、考え、悩みました。 しかし、カムヰがこれから歩んで行こうとしている進化、そしてその変化は、私の今望む変化と違いがあり、同時に進もうとすることは、劇団にも私にも良くはないと思いました。
根底は一緒であるということは確信しているがゆえ、それは辛い道ですが、それぞれにとってベストは退団であると思うに至りました。

カムヰヤッセンで共演させて頂いた俳優のみなさま、スタッフ、そして関係者のみなさま、お世話になりました。ありがとうございました。そして、観ていただいた観客のみなさま、本当にありがとうございました。

カムヰヤッセンはこれからも観に行きたい劇団ですし、きっと観に行きます。
そしてまた、刺激を受けて私も芝居をし続けていきます。

これからも、カムヰヤッセンをよろしくお願いします。

太田宏(青年団)

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