一般社団法人淡路エリアマネジメント共催公演
特別協力 安田不動産株式会社
その一線を超えるかどうかは、覚悟の差だけ。
一線を越えてしまいそうになることがあります。
以前タクシーで、殺人犯の精神鑑定が云々というラジオのニュースを聞いた運ちゃんの「殺しなんてのはちっとおかしくなってるときじゃないと出来ないんだから、鑑定なんかした日にゃ、みんなおかしいってなるに決まってんだ」という言葉を、折につけ思い出します。
結局のところ、その線を超えたり、あるいは踏んでしまったがためにかかる面倒を思って、どうにか踏みとどまって生活しているに過ぎないのではないか、という疑懼が頭に浮かびます。
ごく稀にむしろその面倒という名の安心のほうがどうしようもなく面倒になってしまったり、向こうに広がる深淵の闇が罷り間違って大層な花畑にでも見えてしまうことがあって、彼の地に行ってしまった人に、ひどく同情を覚えることがあります。年々そういう機会が増えてきたような気もしています。
今回は「介護」をテーマに、超えてしまった彼の人と、超えずに済んでいる此の人たちの物語です。3人でできる限界をお見せできればと思います。
脚本・演出 北川大輔
小島明之
辻貴大
北川大輔
北川はよく倒れないな、といつも思う。酒は呑む、睡眠なんかクソ喰らえとばかり大量の仕事をいつも抱え込む。それでいて、現場に出れば疲労感なんてどこ吹く風でいちばんエネルギッシュに次々に獲物を片付けていく。タフな男だ。
そんなことを昨年末に痛感させられた矢先に、カムヰヤッセンからの衝撃的な「大切なお知らせ」に触れた。言いたいことはいろいろある。ヤツとは彼が大学生だったころからの浅からぬ縁でもあるし、劇団活動を同じ時代/地域でやってきたという「同僚」のような感覚もあるからだ。いろいろと、言ってやりたい。
しかし、それらの言葉をひとまずは飲み込んでおこう。ヤツの「発言」はまだ終わっていないからだ。なにしろカムヰヤッセンはあくまで「解散」ではなく「休止」であるというし、そして何より、新作を作って休みに入るという。しかも介護で、3人芝居だと……? 大いに注目してヤツの出方をもうちょっと伺ってみようと思う。
アマヤドリ 広田淳一
「カムヰヤッセン活動休止のお知らせ」を見て「私のせいかもしれない」と思った。
「劇場は、潰れます。」という芸術監督北川大輔の文章を読み、動き始めた。王子小劇場のネーミングライツ販売、急な坂スタジオ次期運営団体募集への応募、花まる式演劇ワークショップ、北区のパーティーでのオリジナル演劇、王子スタジオ2プロジェクト始動等、矢継ぎ早に実行した。
彼を忙しくした一因は私にある。
でも、話をしたら活動休止は私のせいだけではないらしい。
北川大輔は芸術監督である。劇場の職員たちの上司であり兄貴である。後輩のキャリア相談にのる。夜中の会議の話が翌朝まとめられてメールで届く。
自分の作品を書き、演出し、自ら出演する。
あいつに言えば、なんとかなる。だから忙しくなる。
北川大輔はどこへ行くのだろう。
螺旋階段を登って次のステージに行くはずだ。これからも一緒に仕掛けたい。
花まる学習会王子小劇場(佐藤商事株式会社)取締役 佐藤孝治
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